
サラリーマン時代の出来事 〜中編〜
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こんにちは、アリマート代表の田村です。
前回の記事では、私がサラリーマンとして働きながらビジネスの面白さに目覚め、社会保険労務士の資格取得を目指して猛勉強に励んだお話をご紹介しました。さて、最初の挑戦となった試験の結果は…?
長期戦の始まりと、新たな道
結論から言うと、1年目の社会保険労務士試験には合格できませんでした。
もともと2年計画で取得を目指していたので、当時26歳だった私は「そんなに甘くないよな」と、長期戦を覚悟しました。落ち込むというよりは、「よし、次こそは!」と気持ちを新たにしたことを覚えています。
ところが、試験から2ヶ月ほど経った頃、私に予期せぬ転機が訪れます。なんと、経理への異動と係長への昇進が決まったのです。これは本当にありがたいお話でした。
与えられた職務を全うするため、私はまず経理のエキスパートを目指すことに決めました。以前取得した簿記2級の知識をさらに深め、会計の世界に没頭していくことになります。もちろん、社会保険労務士の資格を諦めたわけではありません。経理の仕事が落ち着いたら、必ず再チャレンジしようと心に誓っていました。
税理士試験への関心と、文房具への目覚め
経理の仕事に慣れてきた頃、私はさらにステップアップするため、税理士の資格にも関心を持ち始めました。試験について調べてみると、興味深い事実を知ります。試験ではシャープペンシルが使えず、ボールペンや万年筆での筆記が求められること、そして青色のインクも使用可能であること。
この実用的な必要性が、思いがけず私の文房具への関心を深めるきっかけとなりました。 それまでは単なる「書くための道具」としか見ていなかった筆記具ですが、ボールペンや万年筆を意識して使うようになると、それぞれの書き心地の違いや、インクの色合いの微妙な差に気づき始めたのです。特に、万年筆の滑らかな書き味や、許可されている青インクを使うことで気分転換になるなど、単調になりがちな勉強時間の中に、ささやかな楽しみを見出すようになりました。こうして、筆記具が持つ奥深さや魅力に、少しずつ気づいていったのです。
長期間にわたる専門分野の学習は、決して楽なものではありません。仕事や家庭との両立を図りながら、膨大な知識をインプットし続ける日々。そんな私を精神的に支えてくれたのが、やはり筆記具の存在でした。
特にモチベーション維持のために思い切って購入したのが、ドイツの名門ブランド、ペリカンの万年筆「スーベレーン M800」です。当時、約6万円。決して安い買い物ではありませんでしたが、この万年筆が持つ滑らかな書き心地と、手に馴染む重厚感が、私に「よし、頑張ろう!」という気持ちを奮い立たせてくれたのです。
このスーベレーンM800との出会いをきっかけに、私はすっかり文房具の世界に魅了されていきました。機能性はもちろん、デザイン性やブランドの持つストーリーにも惹かれ、様々なペンやインク、ノートを試すようになりました。お気に入りの文房具と共に勉強に励む時間は、私にとってささやかな、しかし確かな喜びとなっていったのです。
全経簿記上級への挑戦、そして合格
文房具への愛情を深めながらも、会計の専門家としてのスキルアップは着実に進めていました。税理士試験への関心から始まった筆記具への探求でしたが、まずは足元を固めるべく、難関とされる全経簿記上級(日商簿記1級レベル)の取得を目標に定め、本格的な勉強を開始しました。
そして30歳の時、ついに目標を達成!全経簿記上級に合格することができたのです 。努力が実を結んだ瞬間であり、大きな自信を得ることができました。
経営企画への道、課長への昇進
全経簿記上級の資格を取得し、経理での経験を積んだ私は、30代後半になると、会社の将来を計画する経営企画へと異動になりました 。ここでは、会社の数字を見るだけでなく、事業全体の戦略立案や予実管理など、よりマクロな視点が求められるようになりました。
そして、これまでの経験と実績が評価され、課長へと昇進することもできました 。会社員として、一つの大きな目標を達成した瞬間でした。
資格取得への挑戦、経理や経営企画といった部署での経験、そしてその過程で深まった文房具への愛情。これら全てが、少しずつ形を変えながら、後のアリマート創業へと繋がっていきます。
次回はいよいよ最終章。順調にキャリアを築いていた私が、なぜ安定したサラリーマン生活を離れ、独立の道を選んだのか。アリマート立ち上げの具体的なエピソードについてお話ししたいと思います。どうぞお楽しみに!